2011年8月30日火曜日

ガルデルのCD-2(16~18曲)

⑯:ラ・チーナ・フィエラ(やり手少女)/エスティーロ/18007A/
歌:ガルデル-ラサーノ/
作者:ガルデル-ラサーノ/

Dice que mi china es fiera/皆が俺のあの子はやり手だと言う
y se parece al carpincho,/カピバラにそっくり
que su voz es un relincho/その声は嘶きそのもの
y su boca una tranquera,/その口は柵トビラ
y su boca una tranquera!/その口は柵トビラ!
Que es una prienda cualquiera/それは取るに足らないプリンダ
del mismo valor que el toro/牛と同じ値打ち
que tiene al andar saber/旨くたちまわり
igual al de mi potranca/俺の子馬と同じだ
que es brisana y media manca/それはみな知っている半まぬけ
yo sin embargo la quiero./だけど俺は愛してる.

言葉の意味/carpincho:カルピンチョ即ちcapibara:/カビバラ:
南米の川岸に生息するげっ歯類動物,肉は美味で食用になる。
Priendaプリンダと読むが誤字ではないかと思われる

⑰:ジャ・カンタ・ガージョ(もう鶏が鳴く)/サンバ/18008A/
歌:ガルデル-ラサーノ/
作者:フェリクス・スコラッティー・アルメイダ/

Cuando las aves duermen ,/鳥達がねむるとき,
y obra el silencio ./自然は静粛する.
Cuando las aves duermen ,/鳥達がねむる時,
y obra el silencio ;/あたりは静粛する;
por visitar la pampa/パンパを訪れころ
yo estoy sufriendo y sufro por ti ./俺は苦しむ,そして悩むよお前のために
Ay ,ay ,ay ,de mi !/アィ,アィ,あぁ俺は!
Luego es de mananita ,/あさあけの後,
ya canta el gallo ./もう鶏がうたう
Luego es de mananita ,/あさあけあと
ya canta el gallo ./もう鶏がなく
Pero en su solo canto/しかし,それを唯うたうのみ
yo estoy llorando y lloro por ti/俺は泣き崩れ,お前のために泣く
Ay ,ay de mi!/アィ,アィ,あぁおれは!
Muchas veces sabiendo/いつもの事と知りながら
que te amo tanto ./お前故に
Muchas veces sabiendo /いつもの事と知りながら
que te amo tanto ./お前故に

⑱:アマルグーラ(悲嘆)別名:エル・フロリデンセ(花盛り)/エスティーロ/18008B/
歌:カルロス・ガルデル/作者:マシエル-ディアスとあるがアンドレス・セペダ作である/

Llora el ave cuyo nido ,/鳥が嘆くよ,その巣で
en la noche llevo el viento ,/風が飛ばした,その夜に
cuan amargo es su lamento ,/それはかれの悲しき同じ苦しみ
como triste es su gemido ./それは悲しみのなき声
profunda la pena al vivo /生きみの苦痛深く
no forma luego en nidal /ただちに作れぬ隠れ場

Y cantando sin cesar /そして,やみ終えないさえずり
vive feliz y contento /生きる喜びと幸せに
ya el ave no se lamenta /もう鳥は悲しまない
ni tiene porque llorar /何故泣く事もなく

Yo mas infeliz que el ave ,/俺は鳥より更に不幸せ
mas infeliz que rosal /更にバラの木より不幸せ
no hallo remedio a mi mal /わが不幸には救いもない
pues nadie curarlo sabe ./それゆえ誰も手当ての手が出せぬ
Cuanto de ventura cabe /すべての運がありえるか
en un hombre , en mi han de hallar /ひとりの人に,我が存在を見出して

Naci para atesorar /たくわえる為に生まれ
de la vida las congojas /苦悩人生の
soy rosal sin flores ni hoja /おれはバラの木,葉も花もなく
y canto por no llorar ./そして,なかない為に歌う

注:“ジァ・カンタ・ガジョ”の作者,フェリックス・スコラティー・アルメイダは1891年10月3日にイタリー,ミランに生れる。ミラン市ギセップ・ベルディ音楽学校に学ぶ。1907年17歳の時に移民の一人としてブエノスアイレスヘ到着する。その後音楽修行を重ね,ピアニスト,作詞,作編曲家となる。そして,ナショナル劇場にオーケストラの作曲と指揮を担当するまでになり,そこで計らずしくもガルデル-ラサーノ達と共演活動する境遇になる。1917年7月2日にオデオン劇場にてカルロス・スチェフェ.・ガジョ作品“エル・セルカード・アへーノ(他人の囲われ物)”をビトーネ-ポマール劇団の元でデビューする。“クルトゥーラ・ラジオ(文化放送)”に古典フォルクローレのオーケストラを指揮して出演した。その他,ラジオ・ドラマや演劇の音楽も数多く手がける。カルロス・ガルデルが彼フェリクスの作曲したサンバ“ジャ・カンタ・ガージョ”を初め,ワルツ(バルス)“アィ,エレーナ”,“アィ,アゥローラ(あぁ,あけぼのだ)”,バンブーコ“ミス・ペーロス(俺の犬達)”,クエッカ“ラ・ジェゲシータ(小雌馬,あばずれ娘)”,トナーダ“ミ・パロミータ(俺の鳩)”をレパートリーにした。これらの作品はガルデル-ラサーノ達のチリー公演(1917年10月)に参加した時のチリー民謡をモチーフにした産物であり,“ガルデル-ラサーノ”レーベルで1918~19年に録音された(次回のCD‐3で紹介する)。このチリー公演ではパキータ・エスクリバーノのオーケストラに共演参加,ガルデル-ラサーノ達が11月12日を以ってサンチァゴ公演を終えメンドサに向かうとフェリックスは民謡歌手ロクサーナとペルーへと巡業の足を伸ばした。ガルデルの歌った他の曲では,エンリケ・マローニ作詞のサンバ“ラ・サルテニータ(サルタの乙女)”に曲を付け,タンゴはルケ・ロボ作詞“ラ・マスコティータ(マスコットお譲さん)”,エンリケ・マローニ作詞“ビルヘンシータ・デ・ポンページャ(ポンページャの聖女)”,パシージョ“ミス・フローレス・ネグラス(おれの黒い花々)”の編曲をした曲などを取り上げている。彼は1964年8月27日,ブエノスアイレス州フロレンシォ・バレラにて没,72歳の人生を全うした。

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2011年8月27日土曜日

がルデルのCD-2(13~15曲)


⑬;レクエルドス(思い出)/エスティーロ(バルス?)/18006B/
歌:ホセ・ラサーノ/作者:アルフレッド・ペラィア/

Murio mi companera idolatrada /わが溺愛の伴侶の死
la mujer que jamas olvidare , /決して忘れ無き女
y que tengo en el alma reflejada , /魂あらわし保ちつつ,
como tiene en su seno la alborada /夜明けのたもとの様に
la estrella del callado amanecer . /あさあけの沈黙した星々

En la noche callada y misteriosa /謎と静粛な夜に
su recuerdo me inunda el corazon /わが心にしみこむ貴女の面影
y su nombre dulcisimo reboza /みなぎる夢想シズムの名残り
de mis labios temblando de passion . /情けふるえの我が口許
Ella fue la esperanza de mi vida , /かの女は我が命への望み
mi consuelo, mi dicha y mi sentir ; /わが慰め,わが幸せ,わが心情;
la adorada mujer , que no se olvida /愛しきの女,けっして忘れことなく
y que se lleva en el alma hasta morir . /魂共々命果てるまで.

⑭:ラ・マドゥルガーダ(明け方)/トナーダス/18006A/

歌:ガルデル-ラサーノ/作者:サウル・サリーナス/
テーマは農村の歌謡であるが,サリーナスの得意な愛の告白をガルデル-ラサーノは美声に任せて見事に謡い挙げている

No ver a tu corazon ? /おまえの心を妄想するのは,
que dice usted ? /どう思うかい?
adorada prenda querida /愛する証の敬慕女
ahi ha de ser , /そんな事はそれこそ当たり前,
y vera que por tu amor /おまえの愛ゆえの傍らで
que dice usted ? /どう思うかい?
estoy al perder la vida , /俺は命を失った様
asi ha de ser /そんな事は当たり前
No te duermas mi querida /愛する人よ眠らないで
no te duermas mi adorada, /愛する人よ眠らないで,
que viene aclarando el dia /陽は明けて来る
la madrugada ! /あさあけ!
Estoy al perder la vida , /俺は命失なったよう
que dice usted ? /どう思うかい?
En la agonia muy fuerte /強い苦悶のはて
asi ha de ser /そんな事は当たり前
Al verte todos los dia /毎日会うときに
que dice usted ? /どう思うかい?
mis ojos lloran por verte /おまえに会うのに俺の目は涙ぐみ
asi ha de ser /そんな事は当りまえ
No te duermas mi querida , /愛する人よ眠らないで
no te duermas adorada… /愛する人よ眠らないで...
que viene aclarado el dia /ひはあけてくる
la madrugada ! /明け方!

⑮:エル・ティラドール・プラテアード/エスティーロ/18007B/(CD‐1の1曲目と同じ曲)/歌:カルロス・ガルデル(当然,CD-1の録音より聞き応えあり)/ガルデル,ウルグアイ人を唱える派にとってのその情熱の証がこの曲。それは作者のオスカル・オロスコがウルグアイ国パイサンドゥー出身であり,この詞の原作者の事実がアンヘル・プグリッシにより明かされ,1952年にセグーロ銀行のカレンダーに全内容の詞が載せられた。そこで不足の後半部分をここに載せるとしよう。

“No me puedo acostumbrar /“俺は適応できない
a estar tan lejos de ti ,/ お前と隔たれているのが,
y a no comer camoati /そして,カモアティも食べられない
de aquel que me soles dar , /俺にいつもさずけるあの物,
y ahora te quiero endilgar . /今はお前におしつけたい
todo lo que le pareces /すべてそう思う
a tu gaucho payador . “ /お前のガウチョ・パジャドールに.“

 注:Camoati:カモアティ:スズメバチ:ラ・プラタ地方では食用にするらしい


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2011年8月19日金曜日

ガルデルのCD-2(10~12曲)


⑩:エル・モーロ(馬の名前)/カンシオン/
歌:ガルデル-ラサーノ/作者:カルロス・ガルデル/
歴史家フアン・アジャラによるとフアン・マリア・グティエレス作の詩“エンデチャ・デル・ガウチャ”(ガウチォの哀悼歌)だと指摘する。そのテーマはガウチョと馬を詠ったもの。そして,そのメロディーはビセンテ・グレコ作曲のタンゴ“エル・エストリボ(鐙)”とホセ・ベティノティ作“ポブレ・ミ・マドレ・ケリーダ(哀れな我が愛しの母)”と酷似しているが,ガルデルの失った馬への思い込みが見事に現われた歌唱に仕上がっている。

A mi nada me faltaba/俺には何も不足するものは無かった
cuando a mi moro tenia./俺のモーロがいた時は
A mi nada me faltaba/おれには何も足りないものは無かった
cuando a mi moro tenia./おれのモーロがいたとき.
libre era cuanto queria,/ほしいままに拘束も無い,
ni alcalde me perseguia,/村長すらおれを付きまとわない,
cuando a mi moro tenia./おれのモーロがいたとき.

Mi caballo era una flecha/おれの馬は矢のごとく
cuando la espuera le hincaba;/拍車がくい込むとき;
Mi caballo era una flecha,/おれの馬は矢のごとく,
cuando la espuera le hincaba,/拍車がくい込むとき;

Tanto caballo cansaba/馬が力ついた時
cuando en mi mano derecha/おれの右手に
la bola certera alzaba;/確かな玉を挙げる時
mi caballo era una flecha./おれの馬はやのごとく.

⑪:ウナ・ロサ・パラ・ミ・ロサ(バラの花をロサに捧げる)/カンシオン
歌:ガルデル-ラサーノ/彼等の二重唱が“アルメノンビージェ”キャバレーでデビューした時に披露している曲。バラに化身させた愛をうち明ける心を歌う。 
作詞:サウル・サリーナス
作曲:ホセ・ラサーノ

Toma esta rosa encarnada/化身したこのバラをうけ取れ
y abrila que esta en capullo./そして,このつぼみを開け
Y veras mi corazon,/おれのこころを覗くだろう,
abrazado con el tuyo;/おまえと絡んだ;
y veras mi corazon/おれのこころを覗くだろう.
abrazado con el tuyo./おまえと撒きついた.
No llores, mi alma,/なくなよ,我が魂,
no llores no;/だめだ,なくなよ;
que por tu pena,/おまえの悲しみの故,
me muero yo./おれは死にそう.

La rosa que tu me diste/おまえがくれたバラ
en prueba de nuestro amor,/我々の愛の証
fue cortada ante de tiempo/時以前に隔たれた
y la ha marchitado el sol./そして,陽が色あせり
Y la ha marchitado el sol,/そして,陽が色あせり,
la rosa que tu me diste./おまえがくれたバラ.

No llores mi alma,/なくなよ,我が魂,
no llores no;/だめだ,泣くなよ;
que por tu pena/おまえの悲しみの故
me muero yo./おれは死にそう.

⑫:ガウチャ/エスティーロ
歌:ホセ・ラサーノ
作者:ホセ・ラサーノ

Entreabrio la rosa el broche/半開きのバラの鍵ホック
a los besos del sereno/ささやかな口づけに
pa’ recoger en su seno/胸もとにひきよせ
las lagrimas de la noche/夜のなみだ

Y al darselas en derroche/それに贅沢を手許へと
se incline la bella flor,/甘美な花にうなずいて
admirado el ruisenor/サヨナキ鳥が感嘆
al contemlarte sonriete/微笑み見とれつつ
fue coronando tu frente/報いた顔つき
con suaves trinos de amor./優しき愛のトリノス

El aura al pasar ufana/みずみずしき曙
por detras de la cuchilla,/刃隠れを
puso en tus frescas mejillas/おまえの爽快な頬へおく
copitos de nieve y Grana./一杯の雪とたね.

Sonrio amante la manana/夜明けにほほえみの愛人が
sobre tus labios en flor/花添えておまえの口元に
el ceibo en flor que soy yo/セイボ花はおれ自身
fue tu vida perfumando/香水に満たされたおまえの人生
y el aura al pasar volando/そして,飛び過ぎるそよ風
que misterios te canto./謎が歌いそえるる

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2011年8月17日水曜日

ガルデルのCD-2(7~9曲)

⑦:ラ・ウエジャ(痕跡)/カンシオン/歌:カルデル-ラサーノ/
作詞:ホセ・ラサーノ/
作曲:カルロス・ガルデル/

A la huella, huella,/こんせき,痕跡へ,
huella cantando;/歌いながら,わだちへ;
cuando mas te va se me olvida/おまえは去る時俺を忘れはて
mas me va gustando./おれには結構な事.

Por entre totorales/ととらのひげみなか
formando espuma/あわが湧き上がり
va corriendo el arroyo/流れにゆだねいく
a la laguna./みずみへ

El amor es un nino/愛は幼き
que cuando nace/生まれ時
con cualquier carinito/誰しもいつくしみと共に
se satiface/満たす
pero en creciendo,/しかし,大胆になり,
pero en creciendo/しかし,そだちいく
cuanto mas le van dando/すべて更に齎しいく
mas va pidiendo./更に望みに達する

⑧:ラ・マリポーサ(蝶)/エスティーロ歌:カルロス・ガルデル/
アンドレス・セペダの原作曲と同曲(CD‐1;9曲目)

⑨:ラ・クリオージャ(生粋の南米女)/カンシオン/
歌:ガルデル-ラサーノ/作者:ガルデル-ラサーノ

Vos sos la criolla mas hermosa,/あなたは実に魅惑的なクリオージャ,
la que ha dado a las pampas argentinas/アルゼチンのパンパが与えた
todo el fuego de su amor./愛に炎のすべてに.
Vos sos la criolla legendaria de un pasado./あなたは過去のクリオージャ伝説,
que ha dejado en nuestras almas/我々の魂にやきつけ
un recuerdo alentador./一つのはげましの思い出.

Vos sos la luz, el sol,/あなたはひり,お日様,
el aire suave, embriagador;/爽やかな風,陶酔の,
vos sos el dulce trino/甘美きさえずり
que modula el ruisenor./小夜なき鳥のさえずり如く

Yo soy un pobre peregrino sin consuelo/われは慰めも無い悲しき巡礼もの
que contempla marchita para siempre su ilusion;/色あせためぐらし,常に幻想;
el que canta eternamente bajo el cielo/永遠に空の下で歌い
esperando que el pagues algun dia su passion./何時かの日に激情にゆだね償いの恵みを
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2011年8月13日土曜日

ガルデルのCD-2(1~6曲)














ガルデル-ラサーノ二重唱はマックス・グルクスマーン商会“ナショナル-オデオン”で1917年4月9日にレコード録音を開始した。場所は今のカジャオ大通りとペロンの交差した所の近くでバテェ・フイルムの映画用フィルム倉庫であった。ここの持ち主はマックスの本名はモルデチァイ・ダビーデ・グルクスマーン(1875‐1946)でオーストリアから15歳の時に亜国に移民した。そして,後にオデオン・レーベルの代理店代表に伸し上がる人物である。

ガルデルのCD‐2(1~7曲):マックス・グルクッスマーン商会所持の“ナショナル‐オデオン”,“クリオージョ‐オデオン”,“ガルデル‐ラサーノ”レーベルのアクスティク(機械式)録音/ギター伴奏はホセ・ラサーノ,ホセ・“ネグロ”・リカルド/このCDも全曲フォルクローレで占められている


①:カンタール・エテルノ(永遠に歌う
副題:アマメ・ムーチョ(愛して)/カンシオン
歌:ガルデル‐ラサーノ二重唱
作者:アンへル・グレゴリオ・ビジョルド
まぎれも無くタンゴの発祥時代に大奨励した人物で,世界的大ヒットしたこの“タンゴ”を知らない人でもキスオブファイアとしての“エル・チョクロ”を知っているだろう。その作者がアンヘル・ビジョルド。彼の有名な曲には1903年作の“ポルテニート”から“エスキナッソ”,“ラ・カプリチョサ”,“ラ・モローチャ”,“ジュンタ・ブラバ”など,その他多大な数の作品がある。タンゴ発祥時代に活躍した下町のしがない音楽家であるが器用にギター,ハーモニカ,ピアノ,バイオリンまで弾きこなしたという。ガルデル-ラサーノも“タンゴの父”への何らかの尊敬の上に,この曲“カンタール・エテルノ”をとりあげたのだ。

Alla en la noche callada/静寂な夜のあの頃向に
para que se oiga major/更に聞こえ届け
amame mucho que asi amo yo/俺が愛する如く愛しておくれ
Alla en la noche callada/静寂な夜のあの頃に
para que se oiga major/更に聞こえ届け
amame mucho que asi amo yo/俺が愛する如く愛しておくれ

Canta el ruisenor su trino/三位一体の小夜なき鳥がさえずる
Ay si…ay no…/其れはいい...それはやだ...
Canta el ruisenor su trino/三位一体の小夜なき鳥がさえずる
Con melancolica voz,/メランコリーなさえずりで
Amame mucho que asi amo yo./俺が愛する如く愛しておくれ.
No creas que porque canto⋰歌う何故かと信じないかい
tenga el corazon alegre,/嬉しい心を保ちなさい
amame mucho que asi amo yo,/俺が愛する如く愛しておくれ.


②:エントレ・コローレス(艶色の狭間で)/シフラ
歌:ホセ・ラサーノ/
作者:ホセ・ラサーノ,
彼がガルデルとの出会いの夜に披露した曲。

Entre colores de grana/深紅色がかり
rey del espacio celeste/空色のあいだの王様
el sol se asoma en el este/東方にのぞく太陽
con majesstad soberana/きだかき君主

Ya la golondrina ufana/いまや,ほこらしげのツバメ 
emprende su aereo viaje/空の旅へとびだし
y a jugar con el oleaje/そして,大波に弄ぶ
bajo aquel cielo sin bruma/霧なきあの空の下
en lo blanco de su espuma/白きあわにて
tiende su negro plumaje/黒い羽衣をのばす.

③:エル・ソル・デル・25(ベイティシンコの太陽)/ガト/
歌:ガルデル‐ラサーノ二重唱
作詞:ドミンゴ・ロンバルディー
作曲:ガルデル‐ラサーノとあるが原作者はサンティアゴ・ローカである
25とは1810年5月25日の日付け,即ちその日は革命の日だと言う。それに元づいた記念的な歌,クリオージィスト(生粋主義者)の集まる“エル・フォゴン(かまど)”なる場所でロンバルディーとローカにより作られた。

Ya el sol del veinticinco/25日の太陽はすでに
viene asomando ,/覗きくる,
ya el sol del veinticinco/25日の太陽はすでに
viene asomando/覗きくる
y su luz en el Plata/銀色の光と
va reflejando,/すでにかえり輝き
y su luz en el Plata/銀色の光と
va reflejando./かえり輝きながら

(recitado)語り
Oido?.ya lo anuncia la voz del canon,/聴いたか?大砲の轟きを
icemos a tope nuestro pabellon/われ等の国旗を高々に掲げよう
y las campanas/それに鐘々も
mezclan sus alborotos/かの怒号が混ざりこみ
al de las dianas/起床ラッパとともに.

“Viva la patria!” se oye/等々力の“祖国バンザイ”
y el clamoreo,/それと沸き上がり歓声,
hace dentrar en la sangre/血が燃えたぎる
cierto hormigueo,/多勢の群集
hace dentrar en la sangre/血を燃えたぎさせる
cierto hormigueo./多勢の群集

④:ア・ミ・モローチャ/エスティーロ
(アンヘル・ビジョルドの同名曲のタンゴと間違わない様に)
歌:ホセ・ラサーノ
作詞:ホセ・ラサーノ
作曲:カルロス・ガルデル

Sos la moza gentil/あなたは魅力的な美人
elegante de pintar;/エレガンスな化粧
la de labios coloraos/紅色ずけた口もと
como pimpollo de abril;/4月の蕾みの様に
la que ha sido en el pensil/エレガンスな佇まい
envidia de los colores;/羨望の色彩深く
la que ha nacido entre flores/花々に埋まれて生まれでる
y se ha arrullao con la luna./月と共に甘くささやく
te has dao por milar la cuna/ゆりかごへ眼差しを捧げ
del alma de mis amores./我が愛の命

Yo te mire en los juncales/しなやかさを見つめて
y al mirarte, tus ojazos,/眼差しを,貴女の瞳を
lampa de mi buey “chispazos”,/我が牛“ひらめき”の熱望
como rayos infernales,/地獄の閃光のように
y esas son las senales/それはまえふれ
de no se que maravilla/すばらしさ知らずして
pues en la forja, “la orilla”,/それは耐える事,“そよ風”,
al verte cruzar paloma,/覇とが横切る身と遂げて
florecieron en la loma/丘は花ざかり
hasta el cardo y la gramilla./スズメノヒエとアザミまで
pensil:pendiente/ojardin colgante y hermoso/エルガンス

⑤:ブリサス(そよ風)/カンシオン
歌:ガルデル-ラサーノ
原作:ホセ・マルモルのブリサス・デ・ラ・タルデと同曲(CD‐1;11曲目と同じ)
歌詞は前編を参照ください

⑥:エル・パンガレ(敏速な淡色毛並みの馬)/エスティーロ
歌:カルロス・ガルデル
作者:カルロス・ガルデル
原作はアルシデス・デ・マリア著書“カント・トラディショナル(伝統歌)”の登場人物の若死にしたウルグアイ人歌手,イグナシオ・リベロール(通称フアン・ホセ)をテーマにしたモチーフをもとにしている

En un pingo pangare,/バンガレ馬にまたがり
flete guapo coscojero,/洒落た悪賢い駿馬,
buen herraje, lindo opero,/上質な銀かざり,美しいしぐさ,
en direccion a Pigue,/ピゲーに向かい,
va el paisano Cruz Montiel./同郷のクルス・モンティルと行く.
orillando una canada,/小川沿いに,
con camisa bien planchada,/折り目正しき着飾りで,
un clavel rojo retinto,/一輪の赤褐色のカーネション,
punal de plata en el cinto/銀の刃刺しを腰にため
y bota fuerte lustrada./磨き上げ強烈なブーツ.

Voy en busca de un lucero/明星探しに出かけ行く
a quien le ha tendido el ala/何者も気力を引き締め
y llevo el clavel por gala/カーネーションを晴れがましく
en la cinta del sombrero…/帽子のリボンに...

Yo soy un criollo altanero/俺は尊大なクリオージョ
cuando de mi honor se trata/わが名誉あつかいする時
el valor se desbarata/そこなわれぬ勇気
ante el mas minimo antojo/より少ない気紛れの前で
y el punal de aquellos ojos/あの瞳の一さし
con que mi prenda me mata./我が装飾着が苦しめる

馬上操り詩想にくれてパンパ平原を行く。
あたかもガルデルが少年期に故郷タクアレンボー地方のパンパを放浪していた時の叙景を彷彿させる。彼は少年期から巧みな馬使いを心得ていて,乗合馬車の御者も勤めていた。

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2011年8月11日木曜日

ガルデルのレコードの謎

サウル・サリーナス-ガルデル二重唱の録音の存在:

この録音はマックス・グルクスマーン商会の所持する“ナショナル”レーベルに1916年にサリーナスとガルデルが二重唱を組み、ガルデルがセコンドの声を受け持っていたとされる録音で,次の曲がある。
“ラ・ロサ(バラ)”レコード412,
“エル・セグンド・カニャベラル”レコード413,
“ラス・ボリビアーナス(ボリビア女)”レコード414,
“エル・パハリージョ(戯けごと)”レコード414,
“メンドーサ”レコード416,
“トード・オ・ナーダ(全てか無か)”レコード419,
“サンティーゲニャ”レコード418,
“ミ・ネグラ(愛しき人)”レコード417,

次の曲についてはガルデルの声であるかどうか疑問であるという説がある。
“ポル・ウン・ポキート・デ・アモール(僅かな愛の為に)”レコード415
“ラ・センダ・マルディータ(呪うべき道)”レコード416
“ペンサミエンド(思考)”レコード419
“エル・ビノ・イ・ラ・ムへール(女とワイン)”レコード417
レコード番号が同数は対になる

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2011年8月9日火曜日

ガルデルのレコードの謎

ガルデルの生存初のレコードに纏わる霧に霞んだ謎


この章はガルデルを真に賛美,心酔,崇拝する人々に捧げることにしましょう。彼を語るには眩暈するかのごとく回転する黒い盤(即ちSP,LP盤)のみに一言できない。それは包まれた謎の数々。不可解な空洞に消滅した録音の数々,コレクターが観念的に探す未発売タイトル,発見不可能なレコードなど。まだまだ,近年になっても興味つき無い話題は沢山ある。ここでは前編(8月3日)で紹介したCD‐1の補足として14曲以外に存在した録音と、その曲名をテーマにします。この未発表曲(没にされた?)については昨年10月の投稿記事で“エル・プレショネーロ”なる曲のみが発売されなかった様に書きました。しかし,その曲はエスティーロ“ア・エドゥワルド・ニゥーベリー”ではないか,また,それともこの曲“エル・プレショネーロ”とで8枚目を構成していたのではないかとも考えられます。他にも“ミ・テチョ・デ・エストレージャス(我が屋根上の星々)”,“グロリオソ・センテナリオ(百年の栄光)”,“ラ・ティシカ”などの曲のレコードも含まれていたという事です。全体で44曲22枚のレコードが録音されていたと言う説まであります。また,サウル・サリーナスとの二重唱でのセグンドボーカルがガルデルがあるという説の録音の有無。これらの貴重なレコードはタジーニ商会が破産消滅した際に多数が積み上げられて放棄処分されたとか。1955年にこのシリーズ(1912年録音)内の4枚のみのマスターが再現されています。曲は“ポーブレ・マードレ”,“ミ・チーナ・カブレーラ”,“ラ・マニャニータ”,“ジョ・セ・アセール”でギター伴奏は本来のガルデル自身ではなくてロベルト・グレラに技術的に吹き込み変えられています。もしかすると,このSPレコードは日本でも入手可能だったのではないかと思われます。その一枚の“ジョ・セ・アセール”のレーベル写真を何方かのブログで見た気がするのですが...

注記:エドゥワルド・ニゥーベリーという人はアルゼンチンの航空界のパイオニア的人物

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2011年8月4日木曜日

幻のレコードレーベル




















アトランタレコード:カラ・スシア(汚れ顔)
オルケスタ・ティピカ・カナロ

横道に反れるのだが、ガルデルもレコード録音したのではないかと言われた謎のレコード・レーベル『アトランタ』は1913~17年に存在した。歴史的にも貴重な真実の立証的資料なので、ここで紹介するのも無駄な作業には成るまい。

創業者はイタリー人、アルフレッド・アメンドラ氏による。当時タンゴとクリオージョ音楽界の演奏家や作者達の豊富な活躍の穴場であり、創業者のアメンドラ氏は若くしてアルゼンチンに移住し、全スタイルに及ぶ音楽家でもあつた。又、全ての音楽家にレコード録音を可能にするべきをモットーにして、彼は1912年半ば頃にドイツへレコード録音会社と条約結びに、ライセンス獲得と録音装置の買い込みに出向く。そして,ドイツ人録音技師をも伴い帰国。1913~15年の間にダイレクト・カッター法(手順は簡単なアクスティク方式)による、レコード製作作業に従事させた。1913年3月31日(月)にアメンドラ・イ・シアイエー商会が発足し、販売店はエスメラルダ通り274番のサン・マルティン劇場の真向かいに開店。その奥の倉庫でこのレーベル初の録音が次のグループ群のロンダージャ(ロンダ)・バスケス、アルトゥーロ・デ・バッシ指揮によるロンダージャ・アトランタ、タノ・へナロ五重奏、ロンダージャ・フィルポ、ビセンテ・グレコの“ガローテ”五重奏、アグスト・ベルト五重奏、ロンダージャ・デ・プルデンシオ・アラゴン、ロンダージャ・ベビラクグ、アトランタ・バンド、ギター独奏家アグスティン・バリオス、アルトゥーロ・べレンスティンの“アレマン(ドイツ人)”五重奏、カレリ五重奏団等の多数の演奏家達の参加で行われた。その一年後には更に広い場所、カジャオ大通350に移転した。ブエノス・アイレス市立楽団、コロン劇場オーケストラ、バイオリン独奏者フェルーチオ・カテッラーニとアグスト・マウラジ、俳優エゥヘニオ・ヘラルド、女優ブランカ・ポデスタと俳優アルベルト・バジェルーニ、そして、当時の大道化師フロレンシオ・パラビチーニ、歌手サウル・サリーナスとアウグスト・デ・ギウリ、アンヘル・ビジョルド、アンヘル・グレコ、ホセ・ベティノティー、フアン・サルシオーネ、アルトゥーロ・カルデリージャ、アルフレッド・ゴビ(父)夫妻、ホセ・シルバ、パジャドール・アストル・ボログリーニ等達の蒼々たる面々がレコード録音を残した(ここでガルデルの名は出て来ないので、彼のこのレーベルのレコードは存在しない事実が明確した事になる)。しかしながら、第一次世界大戦の没発により、ドイツ間との商業継続が不可能になる。そこで創業者アメンドラはブラジル南部都市ポルト・アレグレにあるレコード製造業者サベリオ・レオネティーを訪ねて、レコード録音の商業契約を結ぶ。そして、当初アストル・ボログリーニとフランシスコ・カナロが録音をする為に現地に向う。そうして,アメンドラの事業は順調に発展して行くが、大戦の長引きによる影響を受けた。特に原料運送中のドイツ船が大西洋遡航中に撃沈され、原料供給不足に落ち込みレコード生産不能となり、ついに倒産。1917年“アトランタ”レーベルは消滅した。

ホセ・ベティノティの“アトランタ”での録音レコード:“フィロソフィア・ガウチャ(ガウチョの悟り)”、“エル・プレソ(囚人)”、“メモリアス・アル・パジャドール・オリエンタル・セサル・イダルゴ(東方吟遊詩人のセサル・イダルゴ)”、“コントラステ(明暗)”、“デル・アラバル(場末から)”、“エル・カブレーロ(怒りの男)”、“ポブレ・ミ・マドレ・ケリーダ”、“シビカ・ラディカル(急進公民)”、“レクエルドス(思い出多く)”、“エル・オガール(家庭)”、“コモ・キエレ・ラ・マドレ・ア・スス・イホス(母が子供達に継げる愛情)”、“ア・ミ・マドレ(我が母へ)”。アンブロシオ・リオとの二重唱で“オブセキヨ(心遣い)”などの録音もある。
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2011年8月3日水曜日

ガルデルのCD-1(11~14曲目)

⑪:ブリサス・デ・ラ・タルデ(黄昏のそよ風)/カンシオン/
作詞:ホセ・マルモル/作曲:カルロス・ガルデル
テーマはホセ・マルモルの詩“メランコリア(悲哀)”を基にしている。だが,アルトゥロ・マートンの曲“エジャ(彼女)”と チェブリエール作曲の“エル・パロマス(鳩)”に極似しているらしい。

Jugad con vuestras alas !oh brisas pasajeras!
賜る我々の翼に!オー,なぎるそよ風!
de huerfanos suspiros de mi secreto amor;
ため息も失うわが秘愛
amor sin esperanza pero de que hace alarde
見せつけられの果て望みも無き
mi corazon que sufre su redes que al ardor
みまわり激しき悩みしわが心

Llevadla, si, piadosas con besos en la frente
よびおこし,たとえ,見え末のくちづけの慈悲深く
a un orquestiada fama con forma de mujer
貴婦人容姿のうわさを言いふらす
sobre tu blancas sienes dejala dulcemente
こめかみ白き甘き振る舞いにつつまれ
cuan unica corona que puedo yo ofrecer.
いかに栄冠のみ捧げ与え出来るとも,

Tu giro es el que nace de seno diamantino,
君の言い回しはダイアモンド風胸に生える
donde se guarde mi alma la sensibilidad
わが繊細な魂の拠りどころ
unico bien que nunca me arrebato el destino
隋一の善は我が宿命奪うことなく
con su serena impura de mi sensibilidad
我が繊細のふしだらと君のさわやかさと共に

Mi amor !oh tu, carino de ardiente fantasia
わが愛しき人よ.!オー君よ,燃える幻想の慈しみ
mi amor es como el alma con lagrimas de fe
我が愛は誓いひずく如き
amor que se confunde con la melancolia
愛は悲哀ととうわくさせ
coronados jasmines
ジャスミン飾り
con hojas de cipres.
イトスギの葉とともに

⑫:エル・アルモハドン/バルス/作者:アンドレス・セペダ‐カルロス・ガルデル
曲はホセ・ベティノティーの“トゥ・ディアグノスティコ(君の判断)”に酷似している。それにしても、歌から歌え謡い継がれきた。クリオージョの古いメロディーの影響から抜けられず、、、とはいえ、見事にガルデル・スタイルに処理されている。

“Una mano despiadada/“無慈悲な手並み
tal vez con maldad profunda/たぶんそこ深き悪辣で
vino a romper a la funda/布おい裂き来る
de mi querido almohadon./わが愛する枕

Me causo tanta tristeza/悲しみ更に引き起こし
al contemplar la rotura/裂け目を眺め
que se llena de amargura/なんと辛き満たす
mi sensible corazon./我が繊細心

⑬:ア・ミトレ(ミトレに捧げた愛国賛歌)/バルス/作者:不明(カルロス・ガルデル)
劇作家、弁士のベリサリオ・ロルダンか放浪歌手フエナンド・ヌンシアタの作品ではないかと信じられていたが、すでに1910年にフアン・バウティスタ・エッチャパレの作品として発表されていた事が判明する。メロディーは明快にバルス“ロカ・デ・アモール(愛に狂い)”と類似するとエンリケ・カビリア編集者は定義するが、アンヘル・ビジョルド作の“ボラー・ゴロンドリーナ(ツバメよ飛べ)”、イグナシオ・コルシーニ作の“デカデンシア・クリオージョ(クリオージョの衰退)にさえ疑似するといわれて、作詞、曲とも何れの作者と解明できず、時が過ぎたのである。

En mi alma nacido un anhelo/我が魂に生まれ来た熱望
que su vuelo /かの飛躍
Lo cubre cual buitre/その強欲も負い隠す
que cantar a Bartolome Mitre/バルトロメ・ミトレを歌うことは
hijo heroico de esta gran nacion./この偉大な国家の

Fue su nombre/名声すぎて
y su grato recuerdo/かの快き回想の
en mi pecho argentino se expande/愛国の心情広がり
el recuerdo de glorias tan grande…/栄光まさに偉大な記念

バルトーロメ・ミトレ:1821年生れ~1906年没,政治家,軍人,小説家
1862~1868年間に大統領務める。アルゼンチン,ブラジル,ウルグアイ三国対パラグアイ戦争に参加。1888年の大統領選において,ドミンゴ・ファスティーノ・サルミエントに敗れる。

⑮:ミ・マドレ・ケリーダ(原題:ポブレ・ミ・マドレ・ケリーダ、可哀想な愛しき母)/ビダリーダ/オリジナル作者はホセ・ルイス・ベティノティー(タジーニのカタログによる)/この曲はすでにサウル・サリーナスを代表とするクジャーノ達の間ではすでにポピュラーな主題でひろがり、パジャドールの間では可なり知れた曲であった。ポッポゥーリー(ドミンゴ・サンタ・クルス)、ア・ミ・マドレ(バルス、カルロス・マッチ)、エル・エストリボ(タンゴ、ビセンテ・グレコ)、エル・モーロ(エスティーロ、ガルデル-ラサーノ)、ラ・モントゥーラ(タンゴ、カナロ-エスポシト)、等の曲に酷似している。処が ガルデル(レコード会社?)はこの曲を伝説的作品として取り上げている。

Pobre mi madre querida,/哀れな愛しのわが母
que de disgustados le daba;/失望で思い悩む;
cuantas veces escondida,/幾と無く身を隠す
llorando lo mas sentida/悲しみに泣き崩れ
en un rincon la encontraba/見出した隅で

Que yo mismo al contemplarla/われ自身ご機嫌取り
el llanto no reprimia,/すすり泣き耐えらぬ,
luego venia a conformarla/その後で和解かやってくる
en un beso al abrazarla/抱擁とくちづけ
cuando el perdon le pedia./許しを無心する時に

Por que con ella tenemos/なぜならば彼女とは
un corazon tan ingrato,/ひとつ心の忘恩の
que poco caso le hacemos/少しも気にとめぬ
siendo que el ser le debemos,/当たり前の努めことと知りつつ
para que darle un mal rato./悪き束の間をもたらし

Si es la madre en este mundo/もし母ならばこの世の中にて
La unica que nos perdona,/我々を随一赦し,
Con sentimiento profundo/深き情とともに
sabe amar y no abandona./愛を知りそして見捨てる事無く.

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2011年8月1日月曜日

ガルデルのCD-1(6~10曲目)

⑥:ミ・チーナ・カブレーラ(山羊飼いの乙女)
副題:パランガネアンド(ほら吹き)/エスティーロ/
作者:カルロス・ガルデル:スタイルは本格的ガウチョ音楽であり、スラム街の言語(ルンファルド)の世界に引き込まれるだろう。

Siempre andas palanganeado/あんたはいつもほらふいている
sin yo saber el porque,/何故だか俺にはわかない
me decis que se yo que/おまえが言うには,私の知ってる事かい!
y siempre andas comadreando,/そして,いつも俺のうわさ話を垂れ流し
mira que me estas cargando/見ろよ!あんたは俺を閉口させている
con tu rezongar al cuete,/あんたの文句に酩酊だ
decime hija e’ una gran siete;/むすめよ,云ってくれよ,大嘘つきめ;

Quien te crees que sos, canejo?/誰かがおまえさんは,あの女?
o porque me ves tan viejo/それとも俺はそんなに爺に見えるのかい
me has tomao pal juguete./悪ふざけは勘弁しておくれ
Que te crees si sabes chorra/あんたは信じるか,まぬけ男の知ることを
de que soy algun sotreta,/ところで俺は可なりの役立たず者,
pa que me estires la jeta/馬鹿つらを延ばしくれるかい
y chilles como cotorra,/オウムの様に喚けって,
mira vieja sos muy zorra,/見ろよビエハ(婆さん)あんたは悪賢い女,
para, que estoy comprendiendo,/なぜかって,俺は悟っているんだ,
ya digo si estoy sintiendo,/ジァー言うが俺はすでに気随ているんだ,
el haberme acuellarao/首元で付きまとう
con usted mas condenao/あんたは罪を負うも当然だ
que los diablos del infierno/悪魔の地獄いき.

注記:
canejo:caray!;ちくしょう!
chorra:間抜けな奴
sotreta:役ただず者
vieja:婆さん,(若い者に使う場合は親愛を込める)

⑦:エル・スエニョ(夢)/エスティーロ/作詞:フランシスコ・イシドロ・マルティーノ
フアン・デ・ディオス・ペサの叙事詩よりインスピレーションを受けた歌詞。ガルデ
ルが初めてアバスト市場裏通りのジヘーナ宅でロサーノに出会った時に披露した歌が,この“夢”である。

Anoche, mientras dormia,/昨日の夜,ねむりの間に
del cansancio fatigado,/うんざり疲れの
no se que sueno adorado/熱愛の夢か知らずゆえ
cruzo por la mente mia;/俺の脳裏にかすめ
sone de que te veia,/おまえが来る夢みる
y vos me estabas mirando,/それにおまえが見つめていた,
y yo te estaba contando/そしておまえに語りつつ
mi vida triste, muy triste,/おれの悲しい命,とても悲しみを
y que desapareciste/それはおまえが消えうせたから
al despertarme llorando,/なきながら目覚める

⑧:ポブレ・フロール(哀れな花)/エスティーロ/作者:カルロス・ガルデル-ホセ・ラサーノ/この曲にはイサベル・セシリア・カナベリー作のポエマ“フロール・デ・カルド(アザミの花)”から抜粋したと思われるベルソス(散文詩)が出てくる。

Pobre flor que en el olvido/忘れ去られた哀れな花
me dejo su jardinero/かの庭師が捨て去りし .

Vas y va por el campero/荒地をいく,そしていく
lleno de fragancia y color;/彩と香りを満ちた,
su pureza y tu hermosura/芳しく精らかさを
para siempre la perdiste,/永遠にうしなう

Ya no eres lo que fuiste/すきし面影今はなし
ya nada te queda de flor./もう花盛りも残り無く.
Ya no viene el picaflor,/もうハチドリも来ない,
como en tus horas de amores,/愛のひと時と同じに
para mirar los primores/おまえの繊細さに引き攣られ
que la natura te odio./自然がおまえを憎み

Y la misma mariposa/その同じ蝶々
pronto te acariciaba./すばやく寄り添い.
la que tanto te adoraba,/とても熟愛した,
para siempre te perdio./永遠にすべて失う.

Ya no brillan los encantos,/もう魅惑は輝かず,
de tu galena hermosura;/快い美貌も;
que ayer la vida te dio./いのちさずけのあの過ぎ日.

El tiempo sin primores/時すぎて繊細さもなし
sin sol, solo y sin estrellas/陽もなく,星も無くただ一人
ya no alarga al existencia/人生の向きも変わり
con la sombra se perdio./影と共に失う.

⑨:ラ・マリポーサ(蝶)/エスティーロ/アンドレス・セペダの曲“ゴルヘェオス(さえずり)”又は“ラ・マリポーサ・リビアーナ(浮気な蝶)”に類似している。作者はアンドレス・セペダ‐カルロス・ガルデルと明記されているが,1903,年発行の雑誌ラ・パンパに記載されている,フロレンシォ・イリアルテ(本名イノセンシォ・エレーラ)のエスティーロ“ケハス(なげき)”の作品の出だしに“浮気な蝶は甘美な色をしている”と詠われているのだが。この曲は女優ロラ・メンブリベス(如何なる人物?)に捧げられた。

Tiene muy lindos colores/稀な美しい彩色を携え
la mariposa liviana/ふしだら蝶
mil encantos la manana/夜明けの魅惑無数
tiene la estrella fulgores,/きらめく星々を携え
perfume tienen las flores/花々は香り携え
misterio la fuente pura/すんだ泉の秘め事
el campo tiene frescura/彼方の野原にさわやきを携え
el viento canciones suaves/彼方の風は歌々のこころみ

⑩:エス・エン・バーノ(空しくも)/カンシオン/オリジナルの詩、曲共にスタイルはバルスで、パジャドールであるフェデェリコ・クルランドの作品だが、ガルデルは巧みに簡単な即興演奏より更に高尚へと到達している。彼クルランドはベティノティ、エセイサ、カゾン、トレホ等達と最後のパジャドール・グループに属し、(若くして1917年に没)クルランドの“エス・エン・バーノ”は遺族からのレコード発売を差し止める訴訟されたというが、当時の亜国に置いて作者保護の版権制度も無く。この様な著作権侵害的な例は珍しい事では無く、レコード会社の横暴に任せてられて居たらしい。

En vano,en vano/それは空しい,それは空しい
mis secretos,horas secretas/おれのひみつ,秘密の時
de amor perdi/喪った愛の
Pero no puedo mas acordarte/しかし,もうおまえを偲べない
que para amarte,/いとしつくすため
yo naci./俺は生まれきた

Y aun te adoro/そして今も愛す
con amor ciego/盲目的な愛とともに
con todo el fuego de la pasion/情熱の炎とともに
Oh si permitas/オー,もし赦し願えれば
la paz del alma,/無垢な心よりの平和
la dulce calma del corazon!/歓甘なのどかな心の!
Mi amor es grande,/わが愛惜は激しい
Grande y profundo/深くそして強い
Como en el mundo/天地のごとく
no puede haber/存在する事の無い様に.

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